ジオラマ初心者が極小城郭ジオラマの制作に初挑戦|水表現・電飾・背景画

はじめに
こんばんは。numumと申します。
今回はじめて本格ジオラマを制作しました。
名前は「水郷穴山城」です。半分Geminiに考えてもらいました。(穴山城は私)
水郷という言葉..私は聞いたことがなかったのですが、造語でしょうか?(かっこいい…)
初の本格ジオラマ制作ということで、背景画、水表現、電飾、レーザーカッターの導入&活用に挑戦しました。1/3000という極小スケールならではの苦労や、実際にやってみて分かった反省点をまとめましたので、この記事が皆さんのジオラマ制作の一助となれば幸いです。
作品コンセプトと構成
「山城(軍事拠点)」と「平山城(経済・流通拠点)」の融合
竹田城や高取城のような山城が持つ「畑とセットになった軍事拠点」としての側面と、安土城のような「港や城下町とセットになった中心市街地」としての側面。この2つの要素をミックスした架空の城郭をイメージしました。
主な構成要素
再現する予定だった機構、施設
- 城郭構造:天守、櫓、塀、城門、馬出、枡形虎口、横矢掛り
- 土木構造:曲輪、障子堀、土塁、堀切、切岸、竪堀
- 附設施設:寺、温泉
実際に作れた機構、施設
- 城郭構造 : 天守、櫓、塀、城門
- 土木構造 : なし
- 敷設施設 : 寺、神社、茶屋
少ない!
ご覧の通り、当初の予定よりだいぶ少なくなってしまいました。理由を解説します。
まず城郭構造についてですが、馬出、枡形虎口、横矢掛りといったものが再現できませんでした。
なぜ再現できなかったのかというと、「再現するのに、とても技術力と根気が要る」からです。
こちらが砂の足場です。このサイズ感。

馬出にしろ枡形虎口にしろ、それらの構造を形成するには土木(粘土)と建物(土木に合った形状の城壁の3Dプリント出力品)の完璧な合わせ技が必要です。それが、今の私にはできませんでした。
それよりも初歩的な技術・知識の獲得と、ジオラマを完成させることが目標だったので、妥協しました。
土木構造についても、「再現困難」でした。
まず1/3000スケールの世界では、表現が小さくなりすぎてしまうこと。それと山を覆い隠す木々によってそれらを目視できず、そもそも作る意味がなくなるのです。
山肌が露出しているときの写真はこちら。

山の木々を足した後がこちら。

何も見えません。
無理に再現しようとすれば、森を裸にしなければならないため、やはりあくまで想像上のものとしてそういった構造があると思い込んで楽しむ、というのが現実的な妥協点になるでしょう。
敷設施設に関しても、温泉は今回したかった表現の一つだったのですが、これもスケール上の問題から断念することになりました。露天風呂にすると温泉部分が小さくなりすぎて、見た人に何を作ったのか伝わりません。
寺、神社は鳥居などを赤に塗るだけでそれっぽくなるので、楽に作れました。

茶屋は、この時代を代表する娯楽ということで作りました。土褐色の単色で塗りましたが、スケールが小さいのでそれでも十分な完成度に仕上がります。

制作工程の振り返り
制作フローは以下のようになりました。
- 構想・準備:設計、資材購入、3Dプリント、背景板へのジェッソ塗布(24h)
- 地形造形:粘土造形(10h)→ 下地塗り(1h)
- 塗装・緑化:建物塗装(10h)→ パウダー・フォーリッジ接着(10h)
- 電飾・レイアウト:配線(24h!)→ 道敷設・再塗装(6h)→ 建物・塀・階段配置(45h!)
- 仕上げ・水表現:全体調整、つや消し(4h)→ 水表現(24h!)
- 背景板制作・囲み板取付:背景制作(10h)→ 外枠・タイトル札取付(3h)
- 最終調整 :(3h)
Total: 165h(休日21日分に相当)
「建物、塀、階段のレイアウト」に45時間、配線や水表現にも丸一日かかるなど、細部の調整に膨大な時間がかかりました。
全体の仕上げより水表現が後なのは、水面に地面の粉やフォーリッジのカスが付着するのを防ぐためです。それらを全部ちゃんと接着してから、水表現に入ります。
こうみると、やはり時間かけすぎたなと思います。初めてなので仕方ありませんが…。
技術的な挑戦と成功点
レーザーカッターによる「塀」の量産
今回、塀の制作にレーザーカッターを導入しました。
- 時短効果:カッターナイフでの切り出しに比べ、圧倒的に早く、細く均一な直線カットが可能です。
- 塗装テクニック:不要なプラ板などの平らな面に塗料を均一に塗り、カットした塀を片面ずつ置いて転写するように塗装しました。これにより、1/3000スケールでも上下の塗り分けが綺麗に再現できました。この手法は今後も使えそうです。

水彩と色鉛筆による「背景画」
表現の幅を広げるため、自作の背景画を設置しました。
2次元(絵)と3次元(模型)のミスマッチ感は否めませんが、独特の「趣」が出たようにも感じます。客観的なリアリティよりも、作品の世界観を補完する役割としてはアリかもしれません。ただ、絵心のなさやジオラマとの馴染ませ方に課題が残りました。今後はAIによる背景画の制作も試してみようと思います。


山城の「足場」表現
本来は砂粉を使う予定でしたが、1/3000スケールでは砂の粒ですらオーバースケール(大きすぎる)になります。そのため「塗装のみ」で表現しましたが、スケール感を損なわず良い結果になりました。粘土の表面部分が凸凹してるとそれが地面の完成度に直結するため、粘土の選び方が重要です(おすすめはダイソーのジオラマ粘土の灰色と砂色、茶色は大きめの粒が混じっている✖)。
↓ダイソーの粘土
(灰色) https://jp.daisonet.com/products/4521718725758?_pos=2&_sid=bad26a8d8&_ss=r
(砂色)https://jp.daisonet.com/products/4521718725741?_pos=3&_sid=bad26a8d8&_ss=r
反省点と次作への課題
今回、多くの「気づき」がありました。正直な失敗談とあわせて記録します。
【造形・3Dプリント】
- 「環境丸ごとプリント」の必要性:建物単体でプリントして配置すると、建物同士の繋がりが薄れ、リアリティを損なう原因になると感じました。1/3000ではディテールを作り込めない分、地面や周囲の物を含めた「環境全体」として3Dモデリング・プリントすることも次からは試してみようと思いました。
- 地形の平坦化:粘土で作った地形が平らでないと、建物や塀が斜めになったり浮いたりします。これを後から削って修正するのは、粉塵で汚れるため非常に困難です。粘土が固まる前に水平出しをおこない、建物の配置まで終わらせるのがベストです(建物は粘土に刺せるよう下に棒状の突起をモデリングしておく)。ですが、逆に間に合わなかったときに突起が粘土に刺さらず邪魔になる事態になりかねないので(なった)、時間がかかるなら突起なしにしたほうがいいです。
【塗装・表現】
- 「大味」からの脱却:建物単体の配置やカラーパウダー頼りの緑化では、全体的に大味な印象になります。地面は単色ではなく、絵画のように陰影をつけて「色の揺らぎ」を塗装で表現してみるのもいいかもしれません。
- 塗装順序の重要性:恐らくかなり初歩的なミスなのですが、奥から手前へ、薄い色から濃い色へ。この基本を守らないと色が混ざったり、あとから修正が困難になります。下地が黒だと全体が暗くなる点も要注意。塗った時の色からだいぶ暗くなる印象です。
- フォーリッジのダマ問題:フォーリッジに直接塗料を当てると表面で固まってダマになりやすいので、時間があればエアブラシでの均一塗装を試みたいと思います。
【水表現・電飾】
- モデリングウォーターの扱い:
- 粘土に染み込んで跡になるため、ニス等での目止めが必須。でないと後からパウダーで隠すハメに…。
- 着色した混合色は「二度と同じ色が作れない」ため、注ぎ足しが発生しないよう一度で決めるか、配合を記録する必要があります。
- 透明なままだと安っぽいので、着色は必須だと感じました。底だけ着色したモデリングウォーターを塗り、上は透明にすると、深みが出ます。
- 電飾の光量不足:光ファイバーの輝度が低く、夜景としてのインパクトに欠けました。光源を明るくする、ファイバーを太くする、光源との距離を縮める等の対策が必要です。また、配線がごちゃごちゃで電池交換が困難な構造も改善点です。
- 粘土硬化後の電飾作業:固い粘土の中に光ファイバーを通すために針金を使用したのですが、針金が固い粘土の中で曲がったり、意図せぬ方向に貫通したりと、かなり時間を食いました。粘土が柔らかいうちにやったら解消しそうですが、柔らかいと光ファイバーが途中で予期せぬ方向に貫通しそうなので、最適なやり方を模索する必要があると感じました。一案としては、下がスカスカな土台を自作し、貫通させたい場所から光ファイバーを通すことを考えています。
- 固定用突起の設計:3Dパーツの固定用突起が太すぎて粘土に刺さらない、あるいは粘土に亀裂が入る恐れがありました。もっと細く設計する必要がありました。
- 時間かけすぎ:次からはもっと短くします。
制作期間・材料
- 制作期間:約2ヶ月半(休日21日分相当!)
- ベース:ダイソー コレクションボックス 深型
- 主な材料 :
- 建物:3Dプリント出力品、塗料(水性とアクリル絵の具)
- 土台:ダイソー ジオラマ用粘土
- 水:モデリングウォーター、メディウム2種
- 電飾:光ファイバー
- その他:薄い板(橋、タイトル札、背景)、フォーリッジ(木々)、グラスパウダー数種(地面)、厚紙(塀)
まとめ
今回の「水郷穴山城」は、1/3000という極小スケールにおける「リアリティ」とは何かを深く考えさせられる制作となりました。
細部まで作り込めないからこそ、全体の「印象」や「空気感」をどう演出するか。 建物単体ではなく空間全体を設計する視点の重要性と、環境ごとの3Dモデリングや、土台の水平出し・電飾ルートの確保といったプロセスの見直しなど、次につながる大きな収穫がありました。
最後のほうは時間をかけすぎたせいでだれてしまい、作業が雑になってしまいました。
反省点は多いですが、この経験を糧に、今後はより没入感のあるジオラマを作れたらと思います。

このジオラマ、売ったらいくらになるのかな…。


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